チームに最適な振り返り方法とは?方法論よりも大切なもの。

私がスクラムマスター をはじめ一ヶ月半、5、6回レトロを行いました。
レトロの準備をするにあたって一番時間がかかっていたのは、どのふりかえり方法を使うか選ぶステップです。
今でもそんなに早く準備が終わるわけではないですが、今一応、自分の中で答えが出ています。
それは、「正解なんてない、試してみればいい」です。
 
もちろん、チームの状態にもよるとは思います。
まだチームを結成してまもないほぼ「グループ」なのにいきなり「今の感情を表現してみてください!」というのは少しハードルが高い。
チームが業務に追われ、余裕がない時に問題に意識を持っていきやすいKPTを使うとチームを追い込んでしまう、など。
理想としては「失敗を恐れてしまうと何もできない、失敗をしてもいいんだ」という共通認識をチームで持ちたい。
失敗してもいい、心理的安全性のある場であることを認識してもらうにはどんな取り組みが必要なのか?
 
これが今の自分への問いです。心理的安全性についてはいろんな書籍があるし、先輩にも聞いてみたい。
今自分なりに答えを出すとするならば、下記の二つかなと思います。
 
心理的安全性を築くには、
・メンバーのことを知っている
人間、やはり「わからない」ということに不安や恐怖を抱きますよね。
安全であると感じれるのは知っている場所で知っている人といる時ですね。
 
・チームがどう失敗をポジティブに扱うか知っている
ここで重要なのは、失敗をしても責められることはないということ。
むしろ、何かうまくいかないことがあっても、それをポジティブな推進力に変換できることを知っているというのが大きい気がしています。
 
あと、心理的安全性と同じくらい大切かなと思っているのが、期待値のすり合わせです。
まだ「チーム」としてゴールやワーキングアグリーメントがしっかり共有されていないと何をするにもスレが生じてしまい結果がなかなか出ないと感じます。
例えば、全員のレトロに対する認識が合っていないと「この時間は一体なんの時間なのか」「なんとなくみんなで毎回ワークをするけど。何も生み出していない時間じゃないのか」のように疑問や不信感を抱くメンバーもいると感じています。
先日レトロのチェックインアクティビティで「このレトロに何を期待しますか?」という問いに「On time」と出た回答に複数名が同意の意を表していたので、レトロを企画しているメンバーと開発メンバーの間にズレがあることを認識させられました。チームが何に価値観を置いているのかは、基本的なことだけどとても重要だと感じています。
 
「On time」(=時間通りにこのレトロを終了したい)との期待値をもらったファシリテータ&スクラムマスター である私は、「時間通りに終わらせるために全力尽くすけど、この時間はチームが主役でみんなの協力必要だから助けてね!」と伝えました。先輩からは「あの発言は良かったよ!」と言ってもらえたけど、「実際はどうだったのかな〜」と時々思い出します。聞かない限りわからないのでまぁそこは一旦忘れたいところです笑
 
とまぁ、今現在私が感じていることをなんだか話が逸れながら書いてみました。
グループがチームになるにはやっぱり心理的安全性が欠かせない。それと同じくらい目線合わせが必要と感じている今日この頃です、というお話でした。
 
なんだか整理しきれておらず徒然なるままに書いてしまいました。
それではまた。

「顔の見えない議論の場」で気づいたこと

Devloveさんのイベントに運営側のお手伝いで参加しました。
 
ここでは、Discordの音声チャンネルをメインの話し合いの場として開催されたイベントに参加して、
「顔の見えない議論の場」で気づいた意外なハードルについて、また、それを改善するために
良さそうなアクションを自分なりに共有してみたいと思います。
 
運営側のお手伝い!と言っても、オーガナイザーの渡部さんのとてもしっかりした「段取り八部」で
お手伝いの私は当日のファシリテーションのみでOKという形でした。
 
進め方はOTSで、カイゼンジャーニーで取り扱っているプラクティスの中から
参加者が興味あるものに投票し、6プラクティスを選びDiscordの用意された部屋に入り話し合う形です。
選ばれたプラクティスは、
ドラッガー風エクササイズ
・1on1
・朝会
心理的安全な場
・タスクボート
・ふりかえり
私は朝会の部屋を担当で参加者の方が入ってくるのを待っていたのですが、誰もこない笑
他にもタスクボードの部屋も誰も入って来ずのようです。
 
少し待って見切りをつけてドラッカー風エクササイズの部屋にお邪魔しました。
最初の5分ほどを逃した状態で参加しました。
私を含めて全部で5人。私以外に男性が4人。
一人は新井さんなので声を知っています。
残りのお三方は今回が初めましてです。
 
Jamboardを見て話を聞いていると、この3人の方のお話を聞くときに、それぞれの話の内容を追うのに苦労している自分に気づきました。
 
声がすごく似ているというわけではなかったかもしれないけれど、会ったことのない「成人男性」と呼ばれる年齢の男性の声は似て聞こえました。
皆さん落ち着いた話し方だった事がそれを強化してしまったのもあると思います。
話に集中すればするほど、誰が言っていることなのかという情報を拾う事が必要になり、Discordで話し合いに参加している人の中でどの人がアクティブになっているのか(緑の輪っかで囲われているか)を追っていました。
話に集中したいのにJamboardの付箋の文章と緑の輪っかを追いかける作業でワーキングメモリの5割くらいを使ってしまっていたイメージです。
話している内容に対しての状況把握、それに対してどう対応できるかなどを考えるよりも、それぞれの話の文脈の切り替えに気を取られてしまっていた。これは予想していなかったハードルでした。
 
オフラインで直接顔が見える状態であれば10人くらいでも難なく情報の整理ができていた記憶があります。
話している人が目の前にいると、誰が何を言っていてそれは「先ほどのコンテキストに乗っているから」と、話の全体像を組み立てやすい。
ランダムにいろんな人が話しても頭の中で「棲み分け」もしくは「色分け」できるイメージです。
それが、オンラインで顔が見えないとなると一気に難しくなる。
人間は入ってくる情報の8〜9割を視覚情報に頼っているとよく言われますが、Jamboardで補完されているとはいえ、圧倒的な視覚情報の足りなさを感じました。
無意識的に、オフラインでは目に見えている一次視覚情報(話者の見た目、表情や身振り手振り、声に出ないリアクションなど)の奥に、その人の話から自分で描いた「その人に紐づけて想像した二次的視覚情報」を作り出して人の話を聞いていたのかも知れないな、と感じました。
この、一次視覚情報から自分で組み立てないといけない「顔の見えない議論の場」では、工夫が必要そうです。
※これは、あったことがない人が議論の場に複数人(3人以上)いる場合です。知り合いが多い場では文脈の切り替えは意識せずとも自然とできると思います。
 
どんなことを工夫すると良さそうかを書いてみます。
 
・みんなでビデオをONにする
簡単にできることは、みんなでビデオをONにすることです。これは何度かオンライン勉強会に参加してきた感想だと結構ハードル高いですが、挨拶だけでもビデオオンできればとても助けになると思います。
 
・自己紹介をする
参加者の方の一時的視覚情報を自分で作るにはこれが一番かなと思います。
私が今回苦労した理由は、自己紹介が終わった頃に話し合いに参加したのが大きいと思っています。
組織の中での役割とこの場にはなんで参加したのか、どんなものを持ち帰りたいのかあたりをシェアすると良さそうです。これを文字情報として残しておくと後から入る人、見返す人にとってとても助けになります。でもやりすぎると本題に費やす時間が少なくなってしまうので、バランスが難しいですね。
 
・話す順番に気を付ける
完全にランダムに話し合いを始めると、声に慣れる前に話が進んでしまって誰が話しているのかを常に確認してから内容に集中するという、余計なステップが入りってしまうことに気が付きました。できるだけ「まずは〜さんのお話から」のように整理して、尚且つ意識的に名前を声に出していくのがいいなと感じました。新井さんがここら辺を自然とやってくださったので、最後の方には内容に集中できるようになってきていました。
 
・Dicsordのチャットに呟きながら進める
音声チャンネルと対になるチャットの場を有効活用するのも効果的です。
今回の開催ではあまりチャットは使わなかったですが、他のイベントではみんな自発的にリアクションや質問などを呟いていたことがありました。Discordの接続が原因なのかマイクがうまく使えずチャットでしか参加できない人が多い場合にチャットが賑わう傾向にあると思います。
メモがわりに、MiroやJamboardのポストイットにするまで大それたことじゃなくてもみんな気軽に発言してくれるので個人的には好きです。盛り上がっている感も出ますね。
 
今回はDiscordの音声チャンネルをメインの話し合いの場として開催されたイベントに参加して、「顔の見えない議論の場」で気づいた意外なハードルについて話してみました。まとまりのない文章にお付き合いいただいてありがとうございました!
 
オンラインにはオンラインの話し合いスタイルがあると思います。
オフラインを完全に再現するのは不可能だし効率が悪い。思わぬハードルもどんどん出てくる。オンラインかオフラインかは手段の違い。目的達成するためにどんどん試して精度を高めていくのが大切ですね。
また何かいいアイディア思いついたり見聞きしたら書こうと思います。
 
 

KPTは取扱注意!経験者は語る。

スクラムマスターとして働き始めたのは4月1日、今日で一ヶ月が経ちました。
ちょっと私の話を少し。
 
ここで働き始めるまではスクラムマスターとしての経験はほぼありませんでした。そんな私を雇ってくれた会社、ありがとう。
それまではプロジェクトマネージャとして開発側にいたこともあれば、事業側にいて営業、マーケなんかのプロジェクトマネージメントや業務改善なんかをしてました。PMO的な。
 
当時の私の周りには楽しそうに仕事をしている人が少なかった。そして何よりも私が楽しくなかった。成長を感じられないし、「それ、やりたい事なんだっけ?」って毎日自分に聞いてました。もちろん答えはNO。
 
そんな中、担当している業務過多のチームが限界を迎えそうなのを目の当たりにしていました。
私にできるのは、業務改善と何か改善を加速させるいい方法を探し出してあげる事くらい。はじめやすくて効果的なものはないかと色々と探しているうちに、カイゼンジャーニーという本に出会いスクラムを知りました。
 
取り入れやすく一番効果のありそうだったふりかえりを週一で始めました。
そこで使っていたのがKPTです。
ただでさえ業務に追われているメンバーに30分もらって始めたふりかえり、途中までは改善点が見えてどうやるかを話し合って、と生産的な時間のように感じられました。しかし毎週やっているとPが積み重なり、積み重なっていく改善点をプロジェクトマネージャの私はがっつりトラッキングしようとして、チームを追い込みそうになっていました。
 
でも、ふと気づいたんです。
ふりかえりで得たいのは、積み重なってチームを圧倒してしまうような改善点の山ではなくて、「改善点を乗り越えていけばうちら最強のチームだよね!よし、やるか!」っていう「ポジティブな何か」だったということを。
 
それから、ふりかえりの時間はお菓子を用意し、感情を振り返るor雑談をすることにしました。チームに余裕が出てきたらKPTを行って一つだけ改善案だして試してを行ってました。
 
そのチームのメンバーと会社を辞めてからもご飯行ったりしています。
 
KPTは日本では「ふりかえり」と検索すると真っ先に出てきて始めやすいのが特徴です。
始めやすい反面、気をつけないとチームの視点を問題点にばかり向けてしまいがちです。
 
もし読んでくれている人の中で、KPTがうまく行っていない、ふりかえりの時間になるとチームの雰囲気が少し重いなんてことになっていたら是非、下記の点を気をつけてみてください。
・Pの数だけKを出す
・当たり前にうまく行っていることもKに出す
・弱点強化だけでなくうまく行っている要因分析もして自分たちの強みを知る
・チーム内で振り返りに対する期待値を確認する
・チームが疲弊している時は、KPTなんてせずにチョコ食べて雑談の時間にする
・積み重なっってしまうPは定期的にリセットする
・なんのために振り返りを始めたのかを思い出す
 
 
皆さんのKPTがチームの視線をいつもより15度くらい上げてくれることを祈っています!